PHILOSOPHY

デジタルカメラは「面白くなくなった」か?

「デジタルカメラはもはや、成熟の領域に達している」。いつともなくそのような言葉が聞かれるようになりました。あるいは、「最近のデジタルカメラには革新を感じない」、「デジタルカメラが面白くなくなった」とも。

これらは多くの写真愛好家の偽らざる感想であり、現在のデジタルカメラの実相に対する率直な評価なのかもしれません。こうしたシビアな認識は、デジタルカメラ・メーカーの一員であるシグマにとっても、考えさせられるところの大きいテーマを含んでいます。

実際のところデジタルカメラは、1990年代半ばから急速に普及してきてからというもの、日進月歩の進展を重ねてきました。高画素化、ホワイトバランスやノイズ処理といった画像処理技術、顔認識などの撮影補助機能……。実際的な機能が格段に向上し充実していくさまが実感でき、話題にも事欠きませんでした。

もちろん最近でも、動画機能やさらなる高画素化など、デジタルカメラは着実に利便と性能を高めています。しかし、本来撮り手本位で目指したはずの進歩が、結果として当事者に「面白みがない」と印象づける原因となっているならば、デジタルカメラの在り方を真摯にあらためてみるべきなのかもしれません。

いままさに写真史の過渡期に

初の電子スチルカメラが発表されてから約30年、普及型デジタルカメラが登場してから約15年。19世紀以来、幾多の技術革新を経て進化してきた写真のあゆみを顧みれば、デジタルカメラの歴史がいかに浅く若いものであるかおわかりいただけると思います。

デジタル画像の利便性や将来性への期待をともなって急速な進展と普及を見せてきたデジタルカメラの現状を見るかぎり、隆盛を極め、成熟に達したかのように見えるのも無理はありません。

が、実際には、デジタルカメラとその画像をとりまく状況は変遷の過渡にあり、長い写真史においては依然として黎明期にある。そして、まだまだ十分に進展の余地がある分野である、とシグマはとらえています。

「デジタル画像技術はもはや成熟し、これ以上の技術革新は期待できない」という指摘に、シグマは敢えて異論を唱えます。

真の高画質を新機軸の技術で

デジタルカメラの普及は写真・画像の用途を大幅に広げ、人々の日常生活に写真を深く関与させてきました。今日、写真・画像に求められている要素はいくつかに整理することができます。

身近な人々やイベントなどの「記録」はもちろんのこと、多くの写真愛好家が志向するアートとしての「作品づくり」は古今東西、普遍的な写真の魅力でしょう。今日ではここに、写真画像を介して行われる「コミュニケーション」という要素も加わっています。デジタル画像が主流になってからの新展開として、写真共有サイトや簡易型ブログをはじめ、多様なコミュニケーション・サービスの利用による、発表、共有、創発までをも含んだ領域の広がりを含んでいるものといえます。

きわめて今日的なそれらの用途をサポートする技術や機能は、いまも日々進化しており、それゆえにデジタル

カメラはますます使いやすく、身近になり、多くの方に躊躇なく使っていただけるデバイスとして普及し つづけていることは、写真を愛するシグマにとっても歓迎すべき流れです。

しかしながら、写真にとって最も重要であるべき画像キャプチャシステムについては、一般に普及しているデジタルカメラはほぼ同じ路線をとっており、その基本的なテクノロジーは、デジタルカメラの誕生以来変わっていません。

シグマが一貫して取り組んできたのは、まさにこの画像キャプチャシステムと、その生成プロセスの革新です。わたしたちは、「真の高画質を生成する」というポリシーを具現するべく、まったく新しい基軸によってダイレクトイメージセンサーの開発を続け、製品化してきた唯一のメーカーであると自負しています。

かけがえのない一瞬を永遠に残す

大切なひとびとの姿や、心打たれ目を奪われるような光景……。

そうしたかけがえのない瞬間を永遠のものとして残すために、シグマが最も重要であると信じて技術開発に邁進し、革新を目指してきたのは、「写真」の根幹をなす画像キャプチャシステムです。なぜならば、写真は「真実を写しとる」ものであり、カメラは写真を撮るための機材なのですから。

カメラを使いやすいものにするための技術開発や、その成果を否定するものでは決してありませんが、「よい写真が撮れる」という本質に切り込んでいくことは、シグマの変わらぬアプローチになっています。

フィルムが長い年月を経て一歩一歩進化していったように、デジタルカメラにおける画像キャプチャシステムも、あるべき画像の実現を目指して、たゆまず焦らず進化させる必要がある。そのためにわたしたちにできることはまだまだある、と信じているのです。

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